- 矯正歯科について
- 矯正歯科のメリット・デメリット
- どんな歯並びでお悩みですか?
- 不正咬合の種類とそれぞれの原因
- 不正咬合は放置せず、まずご相談へ
- その習慣や癖が、歯並びに影響!?
- 歯並びの問題は早期発見が大切です
矯正歯科について
矯正歯科は、歯並びやかみ合わせの乱れ(不正咬合)を整え、機能的かつ美しい口元をめざす歯科治療の一分野です。叢生(でこぼこ)、すきっ歯、出っ歯、受け口などの不正咬合は、見た目の問題だけでなく、発音障害や咀嚼機能の低下、消化への影響など、身体全体の健康にも関わってきます。
正確な治療を行うためには、まず精密な検査が欠かせません。当院では、顔貌の正面・側面のレントゲン撮影、口腔内写真、歯型の採取など、多角的な資料をもとに、顎や歯の状態を詳しく分析します。そして、得られた情報から個別に最適な治療計画を立案します。
矯正治療は期間が長く、原則として自費診療となるため、患者様ご自身が十分に納得されたうえで治療を開始することが大切です。当院では、無理なご契約を促すことはありません。ご家族とゆっくりご相談いただいたうえで、安心してご判断ください。ご不明点があれば、いつでもご相談いただけます。
歯並びの改善は全身の健康にも繋がる
歯並びの良し悪しは、単に見た目の問題にとどまらず、心と体の健康にも大きく影響します。歯は食べ物をしっかり噛むために重要な器官であり、噛む力が弱いと消化機能が低下し、胃腸への負担が大きくなります。
また、噛む刺激は脳にも作用し、成長や集中力の発達にも関係しています。歯並びが悪いと清掃性も悪くなり、磨き残しが増えることで、むし歯や歯周病のリスクも高まります。それが全身の健康状態にまで影響することもあるのです。
矯正歯科のメリット・デメリット
メリット
笑顔に自信が持てる
歯並びが整うと表情が明るくなり、自然な笑顔が引き立ちます。対人関係でも前向きになれる方が多くいらっしゃいます。
横顔が美しくなる
前歯の位置を調整することで、口元と鼻のバランスが整い、横顔全体がすっきりとした印象になります。
むし歯の予防になる
磨きにくかった部分が清掃しやすくなるため、むし歯になりにくい口腔環境を保てるようになります。
歯周病の予防ができる
歯間の隙間がなくなることで、歯周病菌が繁殖しやすい環境を減らし、予防に役立ちます。
発音しやすくなる
歯の位置が整うことで舌の動きがスムーズになり、発音が明瞭になりやすくなります。
快適な食事ができる
噛み合わせが良くなることで、食べ物をしっかり噛めるようになり、消化もスムーズになります。
デメリット
- 歯が動く過程で、痛みや違和感が生じることがあります
- 装置の種類によっては、発音しづらく感じる場合があります
- 矯正治療は健康保険の対象外となるため、全額自己負担となり費用がかかります
どんな歯並びでお悩みですか?
歯並びの乱れには、叢生(デコボコ)、すきっ歯、出っ歯、受け口などさまざまなタイプがあり、それぞれに適した治療法や原因があります。 お子様の歯並びや、ご自身のかみ合わせが気になる方は、まずは一度ご相談ください。
不正咬合の種類とそれぞれの原因
出っ歯【 上顎前突/じょうがくぜんとつ 】

出っ歯は、上の前歯が下の前歯より大きく前に出ている噛み合わせの問題で、「上顎前突」とも呼ばれます。日本を含むアジア圏で比較的多く見られ、原因は大きく「骨格によるもの」と「歯の傾きによるもの」に分類されます。
骨格性の出っ歯は、上あごが過剰に成長していたり、下あごが小さかったりすることで前後のバランスが崩れた状態です。一方で、顎の大きさに問題がなくても、上の前歯が前方に傾いているだけで出っ歯になるケース(歯性)もあります。これらが複合的に関係している場合も少なくありません。
上の前歯が突出していると口が閉じにくくなり、口の中が乾きやすくなることでドライマウスや口臭、免疫力の低下を招くことがあります。前歯がぶつかりやすく、転倒や衝突などで歯を折ってしまうリスクも高まります。
さらに、噛み合わせのバランスが悪く、奥歯にかかる負担が大きくなることで、将来的に歯周病を引き起こしやすくなります。
出っ歯の主な要因
口呼吸や指しゃぶりなどの癖
口呼吸や指しゃぶり、舌で前歯を押す、爪を噛むといった日常的な癖が長期間続くと、前歯に少しずつ外向きの力がかかり、次第に上の前歯が前方へと傾いてきます。また、こうした癖は下あごの正常な発育を妨げる要因にもなり、結果として上下のあごの位置関係にズレが生じてしまうことがあります。
骨格的な、下あごが小さいなどの問題
生まれつき上あごの骨が大きい、または下あごが小さいといった骨格的なアンバランスも出っ歯の原因になります。このような骨格性の上顎前突は、親からの遺伝が関与しているケースも多く見られます。
受け口【 下顎前突/かがくぜんとつ 】

下顎前突とは、下あごが前方に突き出ていたり、上あごの発育が不十分で上下のバランスが崩れている状態のことを指し、一般的に「受け口」や「反対咬合」とも呼ばれます。見た目だけでなく、噛み合わせや発音などにも影響する不正咬合の一種です。
受け口には、顎の骨格に由来する「骨格性」と、歯の傾きなどによる「歯性」のタイプがあり、どちらか一方、あるいは両方が関与している場合があります。
受け口は、見た目だけでなく機能面でも多くのリスクを抱える不正咬合です。歯の摩耗、発音障害、咀嚼効率の低下などが起こりやすく、将来的に歯の喪失リスクが高まることが知られています。
特に成長期においては、下あごの発達を適切にコントロールすることで外科的処置を避けられる可能性もあるため、早期の矯正相談が重要です。骨格的な問題が強い場合は、成長後に外科的矯正治療を選択することもあります。
受け口の主な要因
前歯が内側(反対)に傾いている
骨格に問題がなくても、上の前歯が内向きに、下の前歯が外向きに傾くことで、噛み合わせが逆転し受け口のように見えることがあります。これは歯の位置調整で改善できるケースです。
遺伝的な原因
上あごの発育不足や、下あごの過成長によって前後のバランスが崩れている場合があります。こうした骨格の影響は遺伝的要因が大きく、家族に同じような症状があることも珍しくありません。
口呼吸や唇、舌の癖
舌の位置が安定しない口呼吸、下の前歯を押す舌癖、上唇を噛む癖などが、長期的に下あごの前方成長を促してしまうことがあります。子どもがふざけて顎を突き出す仕草も、繰り返すうちに定着してしまう可能性があるため注意が必要です。
叢生【 乱杭歯/らんぐいば 】

叢生(そうせい)は、歯が本来の位置に並びきらずに、互いに重なったりねじれて生えてしまう歯列不正です。顎の成長不足や歯のサイズのアンバランスなどが関係しており、八重歯も叢生の一例に含まれます。
叢生は歯と歯が密接に入り組んでいるため、歯ブラシが届きにくくなり、どうしても磨き残しが発生しがちです。そのため、むし歯や歯周病が起こりやすくなります。また、八重歯のように上方向や斜めに生えた歯は、奥歯へのサポートが不十分となり、噛み合わせにも悪影響を及ぼすことがあります。
さらに、歯列の乱れによって歯ぐきが下がる「歯肉退縮」のリスクが高まる可能性もあります。
叢生の主な要因
歯と顎のバランスの不調和
顎が小さくて歯が生えるスペースが足りない場合、本来の位置からズレて歯が並ぶようになります。その結果、歯が重なり合ったりねじれたりしながら生えてくることで、叢生が起こります。歯の大きさにも個人差があり、こうした歯と顎のサイズの不一致が原因になることもあります。
乳歯が早く抜けてしまった
乳歯が事故やむし歯などで早く抜けてしまうと、そのスペースに周囲の歯が倒れ込んだり移動したりして、将来その場所に生えてくる永久歯のためのスペースが不足してしまいます。その結果、永久歯が正しい位置に生えられず、歯列の乱れが生じます。
すきっ歯【 空隙歯列/くうげきしれつ 】

空隙歯列とは、歯の間に通常より大きなすき間ができている歯列のことを指し、一般的には「すきっ歯」と呼ばれます。特に上の前歯の中央にすき間ができている場合は「正中離開(せいちゅうりかい)」と呼ばれることがあります。
この状態は、乳歯の時期や乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」の子どもに多く見られます。成長にともない永久歯がすべて生え揃うと自然にすき間が閉じることもありますが、犬歯の萌出後にもすき間が3mm以上残っている場合などは、自然に治ることが難しくなるため注意が必要です。
すきっ歯のままにしておくと、サ行などの発音が不明瞭になったり、話す際に息が漏れて聞き取りにくくなることがあります。また、すき間に食べ物が詰まりやすく、むし歯や歯周病のリスクが高まるといった口腔衛生上の問題も生じやすくなります。
成長期の子どもであれば、顎の発育を見守りながら正しい歯の誘導を行うことで改善を図ります。大人の方には、歯を動かしてすき間を閉じる矯正治療を提案することが一般的です。発音や見た目、噛み合わせが気になる方は、ぜひ早めのご相談をおすすめします。
すきっ歯の主な要因
歯のサイズや本数が合っていない
あごの骨が大きすぎる、歯のサイズが小さい(矮小歯)、あるいは永久歯の本数が足りない(先天性欠如)などの場合に、歯列内にスペースが余ってしまい、歯と歯の間にすき間ができることがあります。
上唇小帯が通常よりも長い
上の前歯の中央から唇にかけて伸びるひだ(上唇小帯)が、通常より太く長いと、歯の間に隙間ができやすくなります。これは乳児検診などで「上唇小帯異常」として指摘されることがあり、成長とともに改善するケースもあるものの、永久歯がすべて生えた後もすき間が閉じない場合には外科的な処置が必要となることもあります。
交叉咬合【 こうさこうごう/クロスバイト 】

交叉咬合とは、歯を咬み合わせたときに一部で下の歯が上の歯より外側に出てしまうかみ合わせの異常で、「クロスバイト」とも呼ばれます。見た目には分かりづらい場合もありますが、前歯の中心線(正中)が左右にずれている場合もあり、あごの成長バランスや歯の生える角度、骨格の歪みなどが関与します。
この状態を放置すると、顎の関節や咀嚼筋に片側だけ負担がかかり、顔の歪みや顎関節症を引き起こす可能性があります。
交叉咬合は見た目の歯並びが整っているように見えることもあり、気づかれにくい傾向があります。特に成長期においては、あごの左右の成長バランスを阻害し、ズレが悪化してしまうことも。お子様の顔を正面から見て、中心線や左右対称性に異常がないかを確認することが大切です。
症状が進行した場合や重度と診断された場合は、外科手術を併用した治療が必要になることもあるため、早期の発見・対応が重要です。
交叉咬合の主な要因
指しゃぶり、舌の癖(舌で歯を押す)、頬杖、爪を噛むといった習慣は、あごや歯に偏った圧力を加えます。これにより骨の成長に偏りが生じ、噛み合わせのずれやあごの歪みに繋がることがあります。
開咬【 かいこう/オープンバイト 】

開咬は、口を閉じた状態で前歯同士が噛み合わず、常にすき間が残る不正咬合のひとつです。「オープンバイト」とも呼ばれ、口が自然に閉じられない、前歯で食べ物を噛みきれないといった症状を伴います。
この症状は、遺伝的な骨格の問題や、口呼吸・指しゃぶり・舌の癖など、日常の習慣が原因になることもあります。
開咬の方は口を閉じられないことが多く、常に口が開いた状態=ドライマウスになりやすいです。その結果、唾液が減少し、むし歯・歯周病・口臭・免疫力低下などのリスクが高まります。
また、前歯での噛み切りができないため、奥歯に負担が集中し、咬耗(歯のすり減り)や破折、顎関節への過剰な負担も問題になります。
開咬の主な要因
指しゃぶりや舌癖がある
日常的に指をしゃぶる、舌で前歯を押す、口呼吸をしていると、前歯に継続的な力が加わり、上下の前歯が噛み合わない状態に変化していきます。
遺伝的な原因
遺伝による骨格的要因では、上下の顎が上下方向に成長してしまいます。
不正咬合は放置せず、まずご相談へ
歯並びの乱れや噛み合わせのズレをそのままにしておくと、見た目の問題だけでなく、将来的な歯の残存数や心身への影響にも関わってきます。
当院では、お子様には成長段階を見極めながら、大人の方には負担をできるだけ抑えた矯正プランを提供しています。
精密検査に基づく的確な診断と分かりやすい説明を心がけ、一人ひとりに合った治療法をご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。
その習慣や癖が、歯並びに影響!?
歯並びが悪くなる原因には、遺伝的なものだけでなく、口呼吸や舌の使い方など日々の習慣も深く関係しています。
現在、お子様やご自身の歯並びに不安を感じている方は、まずは一度チェックしてみましょう。
歯並びの問題は早期発見が大切です
歯並びは、お口まわりの筋肉のバランスや噛み合わせの力が適切に働くことで、正しい位置が保たれています。
遺伝だけでなく、日々のクセや生活習慣によって徐々に歯並びが乱れてしまうケースも少なくありません。
「もしかして…」と思い当たることがあれば、当院までどうぞお気軽にご相談ください。

